
皆さんこんちには。
「薬のおとく堂」お薬解説員です。
「おとく堂」ブログでは、ジェネリックを含む医薬品や、薬の個人輸入に関するさまざまな情報をお届けしています。
今回は、ED治療薬についてです。
世界三大ED治療薬といえば、バイアグラ、レビトラ、シアリスですが、それらのED治療薬は、なぜ、効果があるのか?
ED治療薬がED(勃起不全)を改善するメカニズム(作用機序)について、わかりやすく解説いたします。
ED治療薬のメカニズム(作用機序)をわかりやすく解説
【目次】
3大ED治療薬のメカニズムは同じ?

世界で最初に実用化されたED治療薬バイアグラや、即効性と硬さが人気のレビトラ、世界で最も利用者が多いED薬のシアリス…これら3つのED治療薬は三大ED治療薬と呼ばれています。
それぞれ、効果が出るまでの時間や、効果の持続時間、勃起時の陰茎(ペニス)の硬さなどに差異があります。
しかし、実は三大ED治療薬をはじめ、多くのED治療薬のメカニズムは同じです。
人体の勃起と勃起が治まる仕組みでは、体内に存在する神経伝達物質や酵素の働きが関係しています。
この中で、勃起状態を解除する働きを持つ体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」がED(勃起不全)に大きくかかわっています。
三大ED治療薬など一般的なED治療薬は、この体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」を阻害する働きを持っており、PDE5阻害剤とも呼ばれています
では、なぜ、この体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」を阻害することで、ED(勃起不全)が改善されるのでしょうか?
そのメカニズムを理解するためには、まずは、陰茎(ペニス)の勃起と射精、勃起が治まるまでの仕組み、つまり勃起のメカニズムを理解する必要があります。
勃起のメカニズム

男性の陰茎(ペニス)が勃起し、射精後に勃起が治まるまでには、神経伝達物質と体内酵素が働いています。
まず、男性が性的興奮を覚えた場合、体内の神経伝達物質「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」を増やすように、脳から指令が出ます。
この「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」は、血管を拡充する作用を持っており、これにより、陰茎(ペニス)の血管が拡充されます。
当然、血管内を流れる血流量が増え、陰茎(ペニス)内の海綿体の血流量も増加します。海綿体の血流量が増加することで、陰茎(ペニス)は勃起状態となります。
性行為の後、射精を終えると、勃起状態を解除する必要が出てきます。
この時に、体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」が機能します。
体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」は「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」を分解する機能を持っています。
「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」が減少することで、陰茎(ペニス)に流入する血流量が減少。役目を終えた陰茎(ペニス)は勃起状態を解除することになります。
これが勃起と勃起が治まるメカニズムですが、ED(勃起不全)は、「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」と「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」のバランスが崩れることで発生すると考えられています。
ED(勃起不全)はなぜ起きるのか?

つまり、ED(勃起不全)は、、何らかの理由で、陰茎(ペニス)を女性器に挿入する前や、挿入後、射精に至る前に、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」が機能し始めてしまい、「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」を分解してしまう状態だと考えられるのです。
「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」が増加する端から分解されてしまえば、陰茎(ペニス)は全く勃起状態になりません。
性行為中に「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」が過剰に機能すれば、射精前に勃起状態が治まる、いわゆる「中折れ」状態になります。
もちろん、ED(勃起不全)の原因としては、メンタル的な要素や、他の原因も考えられますが、その多くは、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」にあると言えます。
バイアグラやレビトラ、シアリスといった世界3大ED治療薬などの大半のED治療薬は、この「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」の活動に注目し、その働きを阻害することで、ED(勃起不全)の解消を目指しています。
ED治療薬でなぜEDが改善されるのか?

ここまでお読みになった方であれば、もう、ED治療薬のメカニズム(作用機序)、なぜEDが改善されるのか?そして、ED治療薬がPDE5阻害剤と呼ばれるのか、理解できていることと思います。
ED(勃起不全)の原因が、目的(性行為と射精)を達する前に、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」が過剰に働くことであれば、その活動を阻害すれば、ED(勃起不全)は解消できる考えられます。
実際、バイアグラの有効成分「シルデナフィル」も、レビトラの有効成分「バルデナフィル」も、シアリスの有効成分「タダラフィル」も、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」の活動を阻害する機能を持っています。
この効果により、「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」が十分に働くことで、陰茎(ペニス)の血流量が増加。海綿体が充血することで、勃起状態を導くとされます。
ただし、一般的なED治療薬は、「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」を阻害する働きを持つだけですので、他のことが原因となっているED(勃起不全)は解消できません。
また、機能的に、陰茎(ペニス)を強制的に勃起させる効果はなく、あくまでも勃起できる状態にする働きを持つだけです。
逆に、だからこそ、服用しても興奮状態にならなければ勃起状態にはなりません。
まとめ
以上が勃起とED(勃起不全)の仕組みと、それを解消するED治療薬のメカニズム(作用機序)になります。
基本的に、どのED治療薬も、勃起状態を解消させる働きを持つ体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」の働きを阻害することで、勃起状態を促す機能を有しています。
もちろん、そのための成分が異なるため、それぞれのED治療薬には、持続時間や即効性、陰茎(ペニス)の硬度、副作用などで、さまざま違いが生じます。
使用目的や使用感、体質などに合わせて、最適な医薬品と用量を見つけ出すことが重要です。