ED(勃起不全・勃起障害)の4つの原因と対策

皆さんこんちには。
「薬のおとく堂」お薬解説員です。

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今回のテーマは「ED(勃起不全・勃起障害)の原因」についてです。

なかなか人に相談しづらいお悩み、ED(勃起不全・勃起障害)。

病気や障害に由来する場合や、メンタルに起因する場合、服用している薬剤による場合など、ED(勃起不全・勃起障害)の原因はさまざまです。

今回は、ED(勃起不全・勃起障害)の主な原因4種類と、それぞれの対策法について、詳しく解説したいと思います。

ED(勃起不全・勃起障害)の4つの原因と対策

【目次】

  1. ED(勃起不全・勃起障害)とは?
  2. 勃起のメカニズム
  3. ED(勃起不全・勃起障害)の原因
    器質性ED:動脈硬化や神経の障害が原因のED
    心因性ED:精神的なストレスが原因のED
    薬剤性ED:器質性と心因性が複合したED
    混合型ED:薬剤の服用が原因となるED
    喫煙とEDは関係があるのか?
  4. ED治療薬は有効か?
    ED治療薬とは
    ED治療薬の有効性
  5. まとめ

1)ED(勃起不全・勃起障害)とは?

EDは、Erectile Dysfunctionの頭文字をとったもので、日本語では「勃起不全」や「勃起障害」と訳されます。
その定義は、

性行為の際に、十分な勃起状態にならない、あるいは、十分な勃起状態が維持できないことが原因で、満足な性行為を行えない状態

とされています。

身体的な原因や精神的な原因など、さまざまな原因があり、

  • 性的な刺激に全く反応しない
  • 性行為の途中で萎えてしまう(中折れ)
  • マスターベーションの際は勃起するが性行為の時だけ立たない
  • 勃起はするが硬さが足りない

など、その症状も人によって異なります。

2)勃起のメカニズム

ED(勃起不全・勃起障害)の原因について詳しく見る前に、改めて勃起のメカニズムについて、見てみましょう。

勃起は、端的に言えば、陰茎(ペニス)の海綿体の血流量が増えることで、サイズが大きくなり、硬度が増す現象です。

その流れは、まず、脳が性的な刺激を感じます。すると、中枢神経が働き、陰茎(ペニス)に勃起するように指令が出ます。

その結果、環状グアノシン一リン酸(cGMP)と呼ばれる物質が、陰茎(ペニス)に増加。
環状グアノシン一リン酸(cGMP)は、血管を拡張させる機能を持っていますので、結果、陰茎(ペニス)の海綿体に流れ込む血流量も大きく増加します。

陰茎(ペニス)内の血流量が増えることで、陰茎(ペニス)は「硬く」「太く」立ち上がります。

射精した後、役割を終えた陰茎(ペニス)を、今度は元に戻す必要があります。
(常に勃起した状態では大変ですよね…)

そこで、今度はホスホジエステラーゼ5(PDE5)という酵素が働きます。

この酵素は、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を分解する機能を持っており、体内の環状グアノシン一リン酸(cGMP)が減少。
結果、陰茎(ペニス)内の血流量が減り、通常の状態に戻ります。

ED(勃起不全・勃起障害)は、この内、

  • 脳内の刺激が陰茎(ペニス)に届かない
  • 刺激は届いたが陰茎(ペニス)が立たない
  • 目的を達成する前にホスホジエステラーゼ5(PDE5)が働く

のどれかのタイプになります。

では、その原因について詳しく見ていきましょう。

3)ED(勃起不全・勃起障害)の原因

ED(勃起不全・勃起障害)の原因は、主に4つのパターンに分類されます。

動脈硬化や神経の障害などが原因となる「器質性ED」、精神的なストレスが原因となる「心因性ED」、器質性と心因性が複合した「混合型ED」、そして、服用している薬剤が原因となる「薬剤性ED」の4つです。

個人差はかなりありますが、ED(勃起不全・勃起障害)は、概ね、これらのどれかに該当します。

器質性ED:動脈硬化や神経の障害が原因のED

器質性EDとは?

器質性EDは、血管や神経などの身体的な障害が原因で起きるED(勃起不全・勃起障害)です。

血管の障害により、十分な血流を確保できなかったり、神経の障害により、性的な刺激を陰茎(ペニス)へと伝達できなったりと、物理的に勃起できなくなります。

血管の障害によるED

勃起のメカニズムでも解説しましたが、勃起状態になるためには、陰茎(ペニス)の海綿体に多量の血液を送り込む必要があります。

加齢により血管が老化(動脈硬化)したり、糖尿病や脂質異常、高血圧などのいわゆる生活習慣病で血管がダメージを受けたりすると、陰茎(ペニス)に十分な血流量を送れなくなります。

陰茎(ペニス)の海綿体にある血管は、人体の血管の中でも特に細い血管です。
それゆえに、動脈硬化や生活習慣病による血管のダメージの影響が出やすいとされています。

また、外科手術(前立腺肥大の手術などで稀に発生)や交通事故などの事故で血管が損傷することでも、器質性EDは発生します。

神経の障害によるED

脳卒中やパーキンソン病、てんかん、多発性硬化症(MS)などの神経障害が原因となるED(勃起不全・勃起障害)です。

勃起のメカニズムで説明した通り、勃起するためには、性的な刺激を受けた脳が、勃起するように指示を出します。

その指示は神経を通って陰茎(ペニス)に伝達しますが、神経の障害があると、この指示が陰茎(ペニス)まで届きません。

その為、性的に興奮しても陰茎(ペニス)は全く反応しない…といった症状になります。

神経の障害によるEDは、病気だけでなく、手術や事故で神経が損傷した場合にも発生します。

なお、血管や神経の障害以外でも、例えば男性ホルモンである「テストステロン」の減少が原因となる場合もあります。

「テストステロン」が減少した場合、性欲そのものが減退し、結果、ED(勃起不全・勃起障害)へとつながります。

器質性EDの治療

根本的に解決するためには、ED(勃起不全・勃起障害)の原因となっている血管や神経の障害を取り除く必要があります。

疾患の治療や、生活習慣を見直すことで、ED(勃起不全・勃起障害)が改善します。

また。手術や事故による血管や神経の損傷が原因であれば、血管や神経を再生する治療を受けることも有効です。

ただし、根本的な解決には、かなりの時間を要します。
解決までの間、ED治療薬を併用することも改善に役立ちます。

ED治療薬は、陰茎(ペニス)の血管を拡張し、血流を良くする効果を持ちます。

勃起を何度繰り返すことで、少しづつ、陰茎(ペニス)の血流量が増え、ED(勃起不全・勃起障害)が少しづつ改善されていきます。

心因性ED:精神的なストレスが原因のED

心因性EDとは?

心因性EDとは、精神的・心理的な問題が原因となったED(勃起不全・勃起障害)です。
器質性EDとは異なり、身体的には全く問題が無いにもかかわらずED(勃起不全・勃起障害)状態になる状態です。

  • 仕事や人間関係のストレス
  • パートナーからの妊活のプレッシャー
  • 性行為の経験不足から来る緊張

など、強いストレスを受けると、神経の伝達に不具合が生じることがあります。
その結果、脳から出た勃起の指示が陰茎(ペニス)に上手に届かなくなり、その結果、ED(勃起不全・勃起障害)となります。

また、幼少期に受けたトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)も原因になりますし、アルコール依存症や統合失調症、うつ病といった精神疾患も原因となります。

なお、

  • 初めての性行為で上手く挿入できなかった
  • 十分にピストンする前にあっけなく果ててしまった
  • 彼女から「早い」「小さい」など侮辱された

といった性行為で受けたメンタル的なダメージがトラウマとなってED(勃起不全・勃起障害)となるケースもここに含まれます。

この他、自慰(マスターベーション)や朝勃ちでは問題なく勃起するが、いざ、性行為に及ぶと立たない場合、心因性EDの可能性が高いとされています。

心因性EDは、大きく、一般形と状況型に分類されます。

以下、それぞれ見ていきましょう。

一般形の心因性ED

状況やシチュエーション、性行為の相手などの条件に関係なく、常に発生するED(勃起不全・勃起障害)のことを、「一般形の心因性ED」と呼びます。

どういった状況でも、勃起しないあるいは、勃起が難しいED(勃起不全・勃起障害)です。

年齢と共に、性的なことに関心が無くなり、いわゆる「枯れた」状態となる「無反応型」は、性的な興奮そのものを覚えなくなります。

高齢の方に多い心因性EDですが、若者でも発症する人はいます。

もう1つ、「枯れた」のではなく、性的なものに抑制的になる、場合によっては嫌悪感さえ抱くようになる心因性EDもあります。

この場合、本人は無自覚のケースも多く、パートナーとの性行為をイメージすることすら、嫌がるようになることもあります。

状況型の心因性ED

状況型の心因性EDは、一般形とは逆に、特定の条件下で発生するED(勃起不全・勃起障害)です。

例えば、前述の「自慰では問題ないが、性行為になると勃たない」といったようなケースが状況型にあたります。

過去、性行為に失敗してしまった…といったことや、早漏や遅漏で何や出いたり、あるいは陰茎(ペニス)の形が他の人とは違っていたり…といったことが原因となり、性行為を忌避するようになることがあるとされます。

また、過去に性行為で大きな失敗をした経験などが、いざ、事に及ぶさいに脳裏に思い浮かび、それがトラウマとなった「勃たない」こともあります。

なお、妻だけにはED(勃起不全・勃起障害)になる(逆に、妻で無いと勃たないケースも)こともあり、相手次第で状況がかわる場合もあります。

この他、普段の生活で発生するさまざまなストレス(仕事上の軋轢や人間関係、ちょっとした不幸など)から、ED(勃起不全・勃起障害)となることもあります。

心因性EDの治療

心因性EDの治療については、メンタルな部分が非常に大きく、その心理的な障害を取り除く必要があります。

場合によっては、心理カウンセリングなどを利用し、ストレスの軽減を図る必要もあるでしょう。

ED(勃起不全・勃起障害)となった原因が、過去の失敗に関するものだった場合や、性行為に関する自信喪失(早漏や包茎など)だった場合は、医薬品や外科的な処置に頼ることも重要です。

特に、過去の性行為に起因したED(勃起不全・勃起障害)だった場合、いわゆるED治療薬で、しっかりと勃起させ、性行為を楽しむことで、少しづつ改善することもあります。

ただし、医薬品の効果は一時的なものでしかありません。

根本的な解決を図る場合、原因をしっかりと見極め、取り除く必要があります。

薬剤性ED:薬剤の服用が原因となるED

薬剤性EDとは?

薬剤性EDとは、読んで字の如く、医薬品の使用がED(勃起不全・勃起障害)のことです。

明確な因果関係は、いまだ明確にはなっていませんが、

  • AGA治療薬
  • 抗うつ剤
  • 降圧剤
  • 前立腺肥大治療薬

などの医薬品で、副作用としてED(勃起不全・勃起障害)が発生するケースが報告されています。

AGA治療薬や前立腺肥大治療薬などは、男性ホルモンと関連が深く、性欲の減退や勃起に関する障害が、わずかですか、報告されています。

抗うつ剤は、特に選択式セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの医薬品で、ED(勃起不全・勃起障害)の報告が多く、ED(勃起不全・勃起障害)の原因となりやすいです。

なお、降圧剤については、この医薬品を利用している場合、すでに動脈硬化がかなり進んだタイミングです。
医薬品の影響ではなく、動脈硬化が原因となっている可能性があります。

薬剤性EDの治療

医薬品には副作用は付き物なので、致し方ない側面はあります。

しかし、AGAなど、性生活に直接影響しない治療で、ED(勃起不全・勃起障害)となるは少し悲しいできごとかもしれません。

なお、薬剤性EDの場合、ED治療薬が効果的とされます。
もちろん、すでに服用している医薬品によっては、効果が十全でないケースや、副作用が厳しいものもあるため、医者への相談が最適です。

混合型ED:器質性と心因性が複合したED

混合型EDとは?

ここまでみた3種類のEDが複合して発生するED(勃起不全・勃起障害)です。

医薬品が原因で中折れしたことを、パートナーからからかわれた
包茎が原因で性行為中に、大きな恥をかいてしまった

など、さまざまな要因が複合してED(勃起不全・勃起障害)になってしまった状態です。

混合型EDの治療

こうなると、なかなかこれという決め手を発見するのは難しいものです。
1つ1つ原因を取り除き、向き合うことが必要でしょう。

もちろん、1つ1つ原因を取り除くまでには、かなりの時間を要します。

その間、ED治療薬などを服用し、性行為に自信をつけるといった対策も有効でしょう。

喫煙とEDは関係があるのか?

喫煙者にとって、気になることかと思いますが、喫煙とEDは大いに関係があると言えそうです。

2012年に発行された「ED診療ガイドライン」によれば、喫煙者(受動喫煙も含む)は、そうでない人に比べ、EDの発症率が高いとされています。

煙草に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用を持っています。
この血管収縮作用はかなり強力で、その結果、血の巡りが悪くなります。

勃起は、陰茎(ペニス)内の血管が拡張することで、海綿体に血流が流れ込んで発生します。
ですから、血管が収縮することで、海綿体に流れ込む血流量が減少することで、ED(勃起不全・勃起障害)につながる可能性が示唆されています。

その上、陰茎(ペニス)内の毛細血管は、人体でも最も細く繊細な血管の1つであり、ニコチンの影響を受けやすい可能性が高いと考えられます。

免疫学的な調査では、喫煙者と非喫煙者を比較した場合、2倍ほど、喫煙者の方がED(勃起不全・勃起障害)の発症率が高かったされています。

ED(勃起不全・勃起障害)に悩まれている方は、喫煙習慣についても見直した方が良さそうです。

4)ED治療薬は有効か?

ここまでED(勃起不全・勃起障害)の原因と対策について、見てきましたが、それではED治療薬の使用は有効なのでしょうか?

最後に、その点についてまとめてみたいと思います。

ED治療薬とは

世界3大ED治療薬といえば、バイアグラ・レビトラ・シアリスが有名ですが、近年ではステンドラやザイデナといった第4、第5のED治療薬も登場しています。

また、これらの医薬品には、ジェネリック医薬品も多数存在し、ものすごい種類のED治療薬が登場しています。

その大半は、同じ原理で機能します。
つまり、勃起を解除すつ役割を持った、体内酵素「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」を阻害することで、勃起しやすい状態を作り出すのです。

これらの医薬品は、簡単に言えば、陰茎(ペニス)の血管を拡張し、血流量を増やす機能を持っています。

このタイプのED治療薬であれば、性的な刺激があって初めて、勃起状態になります。

ED治療薬の有効性

一部の心因性EDや、陰茎(ペニス)の形状などに由来するED(勃起不全・勃起障害)でなければ、ED治療薬は、かなり高い効果を示すと考えられます。

陰茎(ペニス)の血流が悪いことが原因であれば、ほぼ対応可能ですし、心因性EDでも、医薬品によって、しっかりと勃起し、性行為の成功体験を繰り返すことで改善する可能性もあります。

また、薬剤が原因となっているED(勃起不全・勃起障害)についても、ED治療薬は効果的でしょう。

ただ、医薬品の使用は一時的なものでしかありません。
根本的な治癒には、根本的な原因の究明と、原因を取り除くことが必要になるでしょう。

4)まとめ

今回は、ED(勃起不全・勃起障害)の主な原因とその対策についてまとめました。

性行為の際に、十分な勃起状態にならない、あるいは、十分な勃起状態が維持できないことが原因で、満足な性行為を行えない状態

というED(勃起不全・勃起障害)には、主に、器質性、心因性、薬剤性、混合型の4つの原因が考えられます。

根本的な解決のためには、それぞれの原因を突き止め、その原因を取り除く必要があります。

ただ、解決までには時間がかかるものであり、一時的な改善や心理的トラウマの解決のためにも、ED治療薬を服用することは、ある程度効果的です。

もし、ED(勃起不全・勃起障害)でお悩みでしたら、まずは自分自身のED(勃起不全・勃起障害)の原因を明確にした上で、適切な対応をすることが重要です。

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